
抜け毛を減らすためには、まず原因を見極めることが大切です。栄養不足や頭皮の炎症、過度なヘアケアなどが原因の場合は、生活習慣や頭皮ケアの見直しが役立つことがあります。一方、AGA(男性型脱毛症)は進行性の脱毛症であり、食事や睡眠、頭皮マッサージだけで進行を抑えることは困難です。生え際の後退や頭頂部の薄毛が続く場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。
本記事では、抜け毛の原因ごとの対策と、巷でいわれている方法の有効性について解説します。
【この記事を読んでわかること】
- 抜け毛を止める方法がわかる
- 抜け毛の原因がわかる
- 巷で言われている抜け毛改善は本当に有効なのか?
について医師がしっかりと、理由と共に解説していきます。
目次
抜け毛を止める方法
抜け毛への対策は、その原因によって異なります。栄養不足や頭皮の乾燥、刺激の強いヘアケアなどが関係している場合は、食事や睡眠、洗髪方法を見直すことで頭皮と髪の健康維持につながることがあります。
一方、AGAは進行性の脱毛症であるため、生活習慣や頭皮ケアだけで進行を抑えることは困難です。抜け毛が長く続く場合や、生え際・頭頂部の薄毛が徐々に進んでいる場合は、医療機関で原因を確認しましょう。
生活習慣を改善する
食事、睡眠、運動などの生活習慣を整えることは、髪と頭皮の健康維持に役立ちます。ただし、生活習慣の改善だけでAGAによる抜け毛を止めることはできません。ここでは、日常生活で見直したいポイントを解説します。
バランスの取れた食事をする

抜け毛を予防し、健康な髪を維持するためには、栄養バランスの取れた食事を心がけることが重要です。髪の毛は主に「ケラチン」というタンパク質で構成されており、髪の成長にはタンパク質をはじめ、亜鉛や鉄、ビタミン類などの栄養素が欠かせません。栄養不足や偏った食生活が続くと、髪の成長に悪影響を与え、抜け毛や薄毛につながる可能性があります。
特に、肉・魚・卵・大豆製品などのタンパク質を含む食品や、亜鉛を豊富に含む牡蠣・牛肉、ビタミン類を含む緑黄色野菜などを積極的に取り入れましょう。また、過度なダイエットや食事制限を避け、主食・主菜・副菜をバランスよく組み合わせることも大切です。
抜け毛対策では、栄養バランスの良い食事で髪と頭皮の健康を維持しながら、薄毛の原因に合った対策を行うことが重要です。
関連情報:AGA対策!髪の毛に良い食事のとり方とおすすめメニュー
十分な睡眠を取る

薄毛に悩む男性にとって、十分な睡眠は抜け毛対策の基本となる重要な要素です。髪の成長に欠かせない成長ホルモンは、主に睡眠中、とくに入眠後の深い眠りの時間帯に多く分泌されます。十分な睡眠は、身体の健康状態や生活リズムを整えるために大切です。睡眠不足が続くと、疲労やストレス、食生活の乱れなどにつながり、間接的に髪や頭皮の健康へ影響する可能性があります。
睡眠の質を整えるためには、就寝前のスマートフォンやパソコンの使用を控え、できるだけ毎日同じ時間に寝起きすることを意識しましょう。ただし、睡眠を改善するだけでAGAによる抜け毛を止められるわけではありません。
適度な運動を行う

適度な運動は、健康維持やストレス解消、睡眠の質の向上に役立ちます。こうした変化は、間接的に髪や頭皮の健康を支える可能性があります。ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動は、比較的続けやすい運動です。無理のない範囲で習慣にしましょう。ただし、運動だけでAGAによる抜け毛を止めたり、発毛させたりすることはできません。
頭皮環境の改善をする
頭皮の乾燥や過剰な皮脂、炎症、かゆみなどがある場合は、頭皮の状態に合ったケアが必要です。洗浄力の強すぎるシャンプーや洗いすぎを避け、指の腹でやさしく洗いましょう。赤み、強いかゆみ、フケ、湿疹などが続く場合は、自己判断でケアを続けず皮膚科へ相談してください。
頭皮ケア&ヘアケアを行う

頭皮の乾燥やかゆみ、過剰な皮脂などを防ぐためには、日々の頭皮ケアやヘアケアを適切に行うことが大切です。シャンプーをするときは爪を立てず、指の腹を使ってやさしく洗いましょう。洗浄成分が残らないように十分にすすぎ、洗髪後は濡れたまま放置せず、ドライヤーで乾かします。
ただし、シャンプーや頭皮ケアは頭皮を清潔に保つためのものであり、AGAそのものを治療する方法ではありません。生え際や頭頂部の薄毛が進んでいる場合は、医療機関への相談も検討しましょう。
頭皮マッサージ
頭皮マッサージは、リラックスや頭皮のこわばりを和らげる目的で取り入れられるケアです。ただし、頭皮マッサージだけでAGAの進行を抑えたり、発毛させたりする十分な根拠はありません。行う場合は、指の腹を使って頭皮をやさしく動かすようにしましょう。強くこすったり爪を立てたりすると、頭皮を傷つける可能性があるため注意が必要です。
頭皮を紫外線から守る

頭皮も顔や身体と同じように、紫外線によって日焼けすることがあります。特に髪が薄くなって頭皮が露出している場合は、乾燥や赤み、ヒリつきなどが起こりやすいため注意が必要です。
外出時は、通気性のよい帽子や日傘を利用し、必要に応じて頭皮にも使用できるUVケア製品を取り入れましょう。ただし、紫外線対策は頭皮の日焼けを防ぐためのものであり、AGAの進行を止める治療ではありません。
医療機関で薬を処方してもらう

AGAによる抜け毛を改善するには、医療機関で適切な治療薬を処方してもらうことが効果的です。AGAは進行性の脱毛症のため、放置すると薄毛が徐々に進行する可能性があります。医療機関では、抜け毛を抑えるフィナステリド・デュタステリドや、発毛を促すミノキシジルなど、症状に合わせた治療薬を処方してもらえます。早めに治療を開始することで改善が期待しやすくなるため、抜け毛や薄毛が気になり始めたら、早めにAGA専門クリニックへ相談しましょう。
巷で言われている抜け毛を止める方法は有効か?
巷では多くの抜け毛を止める方法が言われています。ここではそのそれぞれに対して医師の専門的な視点で解説していきます。
スタイリング剤は頭皮に残らないようにする

ワックスやジェル、スプレーなどのスタイリング剤を使用すること自体が、直接AGAや抜け毛の原因になるとは限りません。 ただし、スタイリング剤が頭皮に多く付着したまま十分に洗い流されないと、皮脂や汚れと混ざり、かゆみや炎症などの頭皮トラブルにつながる可能性があります。
スタイリング剤を使用した日は、シャンプーで髪と頭皮をやさしく洗い、十分にすすぐことが大切です。ただし、汚れを落とそうと強くこすったり、1日に何度も洗髪したりすると、かえって頭皮へ負担をかけることがあるため注意しましょう。
染髪、白髪染めをひかえる

ヘアカラーや白髪染めを控えることが「抜け毛対策になる」といわれることがありますが、染髪そのものがAGA(男性型脱毛症)の直接的な原因になるわけではありません。 ただし、カラー剤が頭皮に合わない場合は、刺激によって赤みやかゆみ、かぶれなどの頭皮トラブルが起こることがあります。
特に、染髪後に強いかゆみや炎症がみられる場合は、繰り返し使用せず、皮膚科などの医療機関へ相談することが大切です。また、頻繁なカラーリングやブリーチは髪そのものにダメージを与え、切れ毛やパサつきによって薄毛が目立ちやすくなることもあります。
ひじき・わかめ・こんぶを食べる

「ひじき・わかめ・こんぶなどの海藻を食べると髪が増える」「抜け毛を予防できる」と聞いたことがある方も多いでしょう。しかし、海藻類を食べるだけで抜け毛が止まったり、AGA(男性型脱毛症)が改善したりするわけではありません。
ひじき・わかめ・こんぶなどの海藻類には、ミネラルや食物繊維などが含まれており、バランスの良い食生活の一部として取り入れることは、健康な髪や頭皮を維持するうえで役立ちます。ただし、髪の主成分は「ケラチン」というたんぱく質であるため、海藻だけに偏らず、肉・魚・卵・大豆製品などのたんぱく質や、亜鉛、鉄、ビタミン類などをバランスよく摂取することが大切です。
帽子の使い方に注意する

「帽子をかぶると蒸れてハゲる」といわれることがありますが、帽子をかぶること自体がAGA(男性型脱毛症)や抜け毛の直接的な原因になるわけではありません。 むしろ帽子は、頭皮を紫外線から守るための対策として役立ちます。
ただし、汗をかいた状態で長時間帽子をかぶったり、汚れた帽子を繰り返し使用したりすると、頭皮が蒸れてかゆみや炎症などのトラブルにつながることがあります。また、サイズが小さく締め付けの強い帽子は、頭皮への負担になるため注意が必要です。
抜け毛対策として帽子を使用する場合は、通気性がよく自分の頭に合ったサイズを選び、汗をかいたら頭皮を清潔にして、帽子も定期的に洗うことを心がけましょう。
タバコを止める

「タバコを止めると抜け毛が減る」といわれることがありますが、禁煙だけでAGAによる抜け毛を止められるとは限りません。ただし、喫煙は髪や頭皮の健康を考えるうえで、見直したい生活習慣のひとつです。
タバコに含まれるニコチンには血管を収縮させる作用があり、喫煙によって血流に影響を与えます。髪の毛が健やかに成長するためには、頭皮にも酸素や栄養が届けられることが重要です。そのため、禁煙は全身の健康だけでなく、髪が育ちやすい頭皮環境を維持するための生活習慣改善という点でも意味があります。
そもそも抜け毛の原因は?
抜け毛や薄毛の原因は3つあると言われています。
- 頭皮の血流低下・荒れ・炎症
- 栄養不足
- 男性ホルモンの一種であるDHT(ジヒドロテストステロン)
日本皮膚科学会ガイドラインによると、日本人男性の約30%がAGAであるとされていて、20代で約10%,30代で20%、40代で30%、50代以降で40%以上と年齢とともに高くなる傾向にあります。
関連情報:薄毛の原因と対策を解説!食事や生活習慣で改善する薄毛対策をご紹介
頭皮の血流低下・荒れ・炎症

抜け毛にはさまざまな原因があり、頭皮の血流低下や荒れ、炎症などの頭皮環境の悪化も、健康な髪の成長に影響を与える可能性があります。毛髪の成長には、毛根周辺へ酸素や栄養が届けられることが必要です。そのため、頭皮を含めた全身の健康状態を整えることが、健やかな髪を維持するうえで重要です。
また、頭皮の乾燥や過剰な皮脂、紫外線、刺激の強いヘアケアなどによって頭皮が荒れると、赤み・かゆみ・フケ・炎症などが起こることがあります。強くかいたり炎症が長引いたりすると、抜け毛につながる場合もあるため注意しましょう。
栄養不足

抜け毛の原因のひとつとして、髪の成長に必要な栄養素の不足が挙げられます。髪の毛は主に「ケラチン」と呼ばれるタンパク質で構成されており、健康な髪を維持するためには、日々の食事から十分な栄養を摂取することが大切です。偏った食生活や過度なダイエットによって栄養不足が続くと、髪が細くなったり、抜け毛が増えたりする可能性があります。
特に重要なのが、タンパク質・亜鉛・鉄・ビタミンB群などの栄養素です。タンパク質は髪の主成分となり、亜鉛はタンパク質の合成をサポートします。また、鉄は酸素を全身に運ぶ役割を担い、ビタミンB群は栄養素の代謝に関わるため、健康な髪や頭皮を維持するうえで欠かせません。抜け毛を予防するためには、肉・魚・卵・大豆製品・緑黄色野菜などをバランスよく取り入れ、特定の栄養素に偏らない食生活を心がけることが重要です。
男性ホルモンの一種であるDHT(ジヒドロテストステロン)

抜け毛や薄毛の主な原因のひとつに、**男性ホルモンの一種であるDHT(ジヒドロテストステロン)**の影響があります。DHTは、男性型脱毛症(AGA)の発症や進行に深く関係しているホルモンです。
DHTは、男性ホルモンのテストステロンが「5αリダクターゼ」という酵素の働きによって変換されることで生成されます。生成されたDHTが毛乳頭細胞の男性ホルモン受容体に結合すると、髪の毛の成長期が短縮され、十分に成長する前に抜け落ちやすくなります。 その結果、髪の毛が細く短くなり、生え際の後退や頭頂部の薄毛が徐々に進行していきます。
ただし、DHTの量が多いからといって、必ずAGAを発症するわけではありません。遺伝的な体質や毛包のDHTに対する感受性も関係しています。
DHTによる抜け毛を抑えるには、フィナステリドやデュタステリドなどのAGA治療薬が有効です。 これらの薬は5αリダクターゼの働きを阻害し、DHTの生成を抑えることでAGAの進行を抑制します。
市販の育毛剤と発毛剤で抜け毛を抑えられる?

市販の育毛剤や発毛剤は、薄毛や抜け毛の対策として手軽に取り入れられる方法ですが、育毛剤と発毛剤では目的や期待できる効果が異なります。 自分の抜け毛の原因や頭皮の状態に合わせて、適切な製品を選ぶことが重要です。
一般的な育毛剤は、頭皮環境を整え、今ある髪の毛を健康に保ちながら抜け毛を予防することを目的としています。一方、ミノキシジルを配合した市販の発毛剤は、AGA(男性型脱毛症)による薄毛に対して発毛を促進し、脱毛の進行を予防する効果が認められています。
ただし、AGAは男性ホルモンの一種であるDHT(ジヒドロテストステロン)が関係する進行性の脱毛症です。市販の育毛剤だけではAGAの進行を十分に抑えることは難しく、ミノキシジル外用薬もDHTの生成を直接抑えるものではありません。
また、発毛剤には頭皮のかゆみや赤み、かぶれなどの副作用が生じる可能性があるため、用法・用量を守って使用することが大切です。
抜け毛が続く場合は医療機関へ相談する

確実に抜け毛を止めたい。薄毛を改善したい。といった方は、高い効果を期待できるクリニックでの治療をおすすめします。
ここでは3つ理由をあげて解説しました。
専門の意見がもらえる
AGAによる薄毛や抜け毛が気になる場合、専門クリニックで医師による診断やアドバイスを受けられることは、大きなメリットのひとつです。 薄毛の原因はAGAだけでなく、生活習慣の乱れや栄養不足、頭皮の炎症、その他の脱毛症などさまざまであり、自己判断では原因を正確に見極めることが難しい場合があります。
AGAクリニックでは、医師が頭皮や毛髪の状態、抜け毛の進行状況、家族歴などを確認し、一人ひとりの症状に合った治療方法を提案します。 また、フィナステリドやデュタステリド、ミノキシジル外用薬などの治療薬について、期待できる効果や副作用、費用などの詳しい説明を受けられる点も特徴です。さらに、治療開始後も定期的な診察を通じて発毛効果や副作用を確認し、必要に応じて治療方針を見直すことができます。
治療薬が異なる
市販の育毛剤と、医療機関で処方されるAGA治療薬は、使用目的が異なります。育毛剤は主に頭皮環境を整えることを目的としています。一方、AGAと診断された男性には、症状や健康状態に応じてフィナステリドやデュタステリドなどの内服薬、ミノキシジル外用薬などが使用されることがあります。薬には使用できない人や副作用の可能性もあるため、医師の診察を受けたうえで治療方法を選ぶことが大切です。
副作用に対応できる
AGA治療薬は、抜け毛の進行抑制や発毛促進が期待できる一方で、副作用が現れる可能性もあります。医療機関では、治療中の体調や症状を確認し、必要に応じて薬の継続、変更、中止などを医師へ相談できます。気になる症状が現れた場合は自己判断で使用を続けず、処方を受けた医療機関へ相談しましょう。
早めに医療機関へ相談した方がよい抜け毛
次のような症状がある場合は、AGA以外の脱毛症や頭皮疾患の可能性もあるため、早めに皮膚科などへ相談しましょう。
- 短期間で急激に抜け毛が増えた
- 円形やまだら状に髪が抜けた
- 頭皮に強い赤み、かゆみ、痛みがある
- フケやかさぶた、膿などが見られる
- 髪を引っ張る髪型の部分だけ薄くなっている
- 体調不良や薬の服用後に抜け毛が増えた
まとめ
抜け毛の原因には、AGA、栄養不足、頭皮の炎症、過度なヘアケア、体調の変化などさまざまなものがあります。食事や睡眠、適切な頭皮ケアは髪と頭皮の健康維持に役立ちますが、AGAによる抜け毛をセルフケアだけで止めることは困難です。
生え際や頭頂部の薄毛が徐々に進んでいる場合や、抜け毛が長く続く場合は、医療機関で原因を確認しましょう。原因に合った対策を早めに始めることが、抜け毛の進行を抑えるための第一歩です。