男性型脱毛症(androgenetic alopecia:以下、AGA)は、男性の前頭部と頭頂部の頭髪が軟毛化して細く短くなり、最終的には額の生え際が後退し頭頂部の頭髪がなくなってしまう現象です。
日本人の場合には20歳代後半から30歳代にかけて発症することが多く、頻度は約30%といわれています。壮年期の男性にあっては、薄毛はその人の印象を大きく左右するため、社会生活におけるストレスは強く、なんとか改善したいという欲求も切実です。
従来は育毛剤以外には薬剤は存在しませんでしたが、2005年12月にAGAの内服治療薬としてプロペシア®が発売されるにともなって、AGAの病態と治療に関して正確な知識をもつ必要性が生じました。
目次
薄毛の原因について
AGAとは?
AGA(Androgenetic Alopecia)とは、男性ホルモンの影響によって起こる、進行性の脱毛症のことです。一般的に「男性型脱毛症」や「壮年性脱毛症」と呼ばれ、男性に多く見られます。
AGAの特徴
- 遺伝の影響: 家族にAGAの人がいると、発症リスクが高まります。
- 男性ホルモンの影響: 男性ホルモンの一種が毛根を萎縮させ、脱毛を引き起こします。
- 進行性: 一度発症すると、自然に治ることはなく、徐々に進行していきます。
- 症状: 生え際の後退や頭頂部の薄毛が特徴です。
AGAの原因
主な原因は、遺伝的な要因と男性ホルモンの影響です。男性ホルモンの一種が、毛根の成長を阻害する物質に変わり、脱毛を促進します。
男性ホルモンと脱毛の関係
男性ホルモンは、男性の身体の特徴を形成する上で重要な役割を担っていますが、一方で、薄毛との深い関係があることも知られています。
薄毛を引き起こすのは男性ホルモンの「ジヒドロテストステロン(DHT)」
男性ホルモンの一種であるテストステロンが、体内の酵素と結びつくことで、ジヒドロテストステロン(DHT)という物質に変化します。このDHTが毛根に悪影響を与え、髪の成長を妨げることで薄毛を引き起こすのです。
DHTが毛根に与える影響
- 毛周期の短縮: 髪の生え替わりの周期が短くなり、髪が十分に成長する前に抜け落ちてしまいます。
- 毛髪のミニチュア化: 髪が細く、短い産毛のような状態になってしまいます。
- 毛包の萎縮: 毛根が徐々に小さくなり、最終的には全く生えなくなることもあります。
遺伝も薄毛に影響
DHTの影響を受けやすい体質は、遺伝によって受け継がれることがあります。家族に薄毛の人がいる場合は、自分自身も薄毛になりやすい傾向があると言えます。
フィナステリドの効果
フィナステリドの発毛効果について
フィナステリドは、男性型脱毛症(AGA)の治療薬として広く用いられている内服薬です。その効果は、主に以下のメカニズムに基づいています。
DHT(ジヒドロテストステロン)の生成抑制
- AGAの原因物質DHT: AGAは、男性ホルモンのテストステロンが、5αリダクターゼという酵素によってDHT(ジヒドロテストステロン)に変換されることが主な原因と考えられています。DHTは毛根を縮小させ、髪の成長サイクルを短くしてしまう働きがあります。
- フィナステリドの働き: フィナステリドは、この5αリダクターゼを阻害することで、DHTの生成を抑制します。これにより、毛根へのダメージを軽減し、髪の成長を促す効果が期待できます。
フィナステリドの効果が現れるまでの期間
フィナステリドの効果が現れるまでの期間は?
フィナステリドの効果が現れるまでの期間は、個人差が大きく、一般的に数ヶ月から1年以上かかるとされています。早い人では3ヶ月程度で効果を実感することもありますが、平均すると約半年で効果が現れるケースが多いようです。
なぜ効果が出るまでに時間がかかるの?
フィナステリドは、髪の毛の成長サイクルを正常化し、新しい毛が生えてくるのを促す薬です。髪の毛は、成長期・退行期・休止期というサイクルを繰り返しており、このサイクルを正常化するには時間がかかるためです。
効果が出るまでの期間に影響する要因
- 個人差: 人によって髪の毛の成長サイクルは異なります。
- 脱毛の進行度: 脱毛が進行しているほど、効果が出るまでに時間がかかる場合があります。
- 併用薬: 他の薬を服用している場合、効果が出るまでの期間や副作用に影響を与える可能性があります。
フィナステリドの効果が期待できる人、できない人
効果が期待できる人としては、AGAと診断された人、特に頭頂部や前頭部の薄毛が気になる人などが挙げられます。
効果が期待できない人としては、以下のケースが考えられます。
- AGA以外の脱毛症:円形脱毛症など、他の原因による脱毛症には効果がありません。
- 女性:フィナステリドは男性ホルモンに作用するため、女性への使用は推奨されていません。
- 妊娠中または授乳中の方:胎児や乳児への影響が懸念されるため、使用できません。
効果が現れるまでには個人差があり、早ければ数ヶ月、通常は半年から1年程度かかるといわれています。また、初期脱毛と呼ばれる現象が起こる場合もあります。
フィナステリドの使用を検討する際は、必ず医師に相談し、自分に合った治療法を選ぶことが大切です。
フィナステリドの服用方法
- 1日の服用量
- 服用時間
- 長期的な服用について
- 食事をともなっての服用
フィナステリドでAGA治療を始めようと考えている方へ
フィナステリド治療のメリットとデメリット
男性型脱毛症(AGA)の治療薬として広く知られるフィナステリド。その効果と安全性について、メリットとデメリットを詳しく解説します。
フィナステリド治療のメリット
- 経口薬の利便性: 錠剤を服用するだけのシンプルな治療法であり、日常生活に大きな支障はありません。
- 長期的な治療効果: 継続して服用することで、長期間にわたって効果が持続します。
フィナステリド治療のデメリット
- 初期脱毛: 治療開始後、一時的に抜け毛が増える「初期脱毛」が起こることがあります。これは、古い髪が抜け落ちて新しい髪が生え変わる過程であり、数ヶ月で落ち着くことが多いです。
- 継続的な服用が必要: 効果を維持するためには、継続的な服用が不可欠です。
フィナステリド治療を受ける際の注意点
- 医師との相談: フィナステリド治療を受ける前に、必ず医師に相談し、自分の状態に合った治療法を選びましょう。
- 定期的な検査: 治療中は、定期的に医師の診察を受け、副作用の有無や治療効果を確認しましょう。
- 他の治療法との併用: 必要に応じて、ミノキシジルなどの他の治療法と併用することも検討されます。
フィナステリドは、AGA治療において有効な薬剤ですが、メリットだけでなくデメリットも存在します。治療を受ける際には、医師とよく相談し、メリットとデメリットを十分に理解した上で決断することが重要です。