
男たちの美容外科総院長の宮部です。「男たちの美容外科」ではAGA、薄毛に関する情報発信を行っています。今回は、AGAに関してよくいただく質問を徹底的に解説していきます。
今さらAGAという言葉についての説明は必要ないのかもしれません。それほどまでに世間ではよく耳にする言葉ですが、念のためご説明すると、AGAとはAndrogenetic Alopesiaの略称で、日本語にすれば男性型脱毛症のことです。
小難しく言えばそうなるのですが、要するに思春期以降の男性の進行性の脱毛症で、いわゆる「ハゲ」「薄毛」と呼ばれている男性のお悩みの1つです。
男性の抜け毛・薄毛の原因の90%以上がAGAであるので、抜け毛の症状が現れたらほぼAGAと思っていただいて構いません。しかし、少なからず他の原因も存在するのでAGAならではの特徴を説明させて頂きます。
目次
AGAの特徴
AGAの初期症状

男性型脱毛症(AGA)は、進行性の脱毛症であり、早期に対処することが重要です。初期段階では自覚しにくいことも多いため、いくつかのサインを見逃さないようにしましょう。.
まず目立つのは「生え際の後退」です。特に額の両端、いわゆるM字型に後退するケースが多く見られます。また、「つむじ周辺の薄毛」も初期症状の一つです。頭頂部の髪が薄くなり、地肌が透けて見えるようになったら注意が必要です。
さらに、「髪のハリやコシの低下」も見逃せないポイントです。最近、髪が細くなった、ボリュームが出にくいと感じる場合、AGAの兆候かもしれません。「抜け毛の増加」も典型的な初期症状であり、朝起きたときの枕や入浴時の排水口などに抜け毛が多く見られるようになります。
これらの症状に心当たりがある場合は、皮膚科や専門クリニックへの相談をおすすめします。AGAは進行する病気ですが、早期に治療を始めることで進行を抑えられる可能性が高まります。市販の育毛剤だけで対処せず、専門的な診断を受けることが大切です。
AGAの原因
**AGA(男性型脱毛症)**は、日本人男性の3人に1人が悩むとされる脱毛症で、特に額の生え際や頭頂部から髪が徐々に薄くなっていくのが特徴です。AGAは進行性であるため、早期の対策が重要とされていますが、まず理解しておきたいのがその「原因」です。
AGAの主な原因は、**男性ホルモンの一種である「DHT(ジヒドロテストステロン)」**の影響です。DHTは、テストステロンという男性ホルモンが「5αリダクターゼ」という酵素によって変換されてできる物質です。このDHTが毛根にある「アンドロゲン受容体」と結びつくことで、髪の成長を妨げ、毛周期(ヘアサイクル)を短縮させてしまいます。
通常の髪の毛は、数年間かけて成長し、太くしっかりとした毛になりますが、DHTの影響を受けるとその期間が数か月に短縮され、髪が細く短くなる「軟毛化」が進行します。これが、見た目としての薄毛や抜け毛の増加につながるのです。
さらに、このDHTの影響を受けやすいかどうかは遺伝的要因によって決まります。特に母方の家系にAGAの傾向がある場合、5αリダクターゼの活性が高く、AGAを発症しやすいとされています。
また、生活習慣やストレス、睡眠不足、栄養バランスの乱れなども、AGAの進行を加速させる一因になることがあります。これらは直接的な原因ではないものの、頭皮の血行不良やホルモンバランスの乱れを引き起こし、脱毛を促進してしまいます。
このように、AGAはホルモン・遺伝・生活環境といった複数の要因が絡み合って発症・進行するため、根本原因に対する理解と適切な治療が必要です。
AGAは遺伝なのか

AGA(男性型脱毛症)は、多くの男性が抱える髪の悩みのひとつです。その主な原因としてよく知られているのが「遺伝」です。実際、AGAの発症には遺伝的要因が大きく関係していると、さまざまな研究で明らかになっています。
特に関与しているのが「アンドロゲン受容体遺伝子」と呼ばれるもので、これは男性ホルモン(DHT)に対する毛根の感受性を左右します。この遺伝子は母方から受け継がれるケースが多いため、「母方の祖父が薄毛だと注意が必要」といわれるのです。しかし、父方の影響が全くないわけではなく、複数の遺伝的要素が絡み合ってAGAの発症に影響しています。
ただし、遺伝だけで全てが決まるわけではありません。生活習慣やストレス、食事、睡眠といった環境要因もAGAの進行に大きく関係しています。例えば、偏った食生活や喫煙、睡眠不足は頭皮環境を悪化させ、薄毛の進行を早める可能性があります。
つまり、遺伝的な要因を持っていたとしても、生活習慣を見直すことでAGAの進行を遅らせたり、対策を講じたりすることは十分に可能です。早めのケアや適切な育毛対策が重要となります。
AGAが気になる方は、自分の家族歴を知ると同時に、頭皮や髪の状態を日常的にチェックし、必要に応じて専門の医師に相談することが大切です。
AGAを薬で治療する方法
ミノキシジルの効果と副作用

ミノキシジルは、薄毛や抜け毛に悩む方々の間で広く知られる育毛成分です。もともとは高血圧の治療薬として使用されていましたが、使用者に発毛効果が見られたことから、育毛剤としての用途が注目されるようになりました。
現在では、外用薬として市販されるほか、一部の医療機関では内服薬としても処方されています。
ミノキシジルの主な効果は、毛包への血流を促進し、毛母細胞の活動を活性化することです。これにより、休止期の毛髪が成長期に移行しやすくなり、髪の太さや密度が向上します。特に壮年性脱毛症(AGA)に有効とされ、多くの臨床研究でも一定の成果が確認されています。
一方で、副作用も存在します。外用薬では、頭皮のかゆみ、発疹、赤みといった皮膚トラブルが比較的よく報告されています。内服薬では、むくみ、動悸、低血圧などの全身的な副作用が出る可能性があるため、医師の管理下で使用することが重要です。また、使用初期に一時的な脱毛(初期脱毛)が起こることがありますが、これは毛周期が正常化する過程で見られる現象とされています。
ミノキシジルは、継続的な使用が効果維持に不可欠な薬剤です。効果を得るには数ヶ月の使用が必要であり、途中で使用をやめると再び脱毛が進行することがあります。そのため、自身の体質や症状に合わせて、医師や薬剤師に相談しながら使用することをおすすめします。
フィナステリドの効果と副作用
フィナステリドの効果はAGAの原因を抑制する

AGA(男性型脱毛症)の代表的な治療薬として広く知られているのが「フィナステリド」です。日本でも医師の処方により使用されており、その最大の特徴は、AGAの根本的な原因を抑制する点にあります。
AGAの主な原因は、男性ホルモン「テストステロン」が「5αリダクターゼ」という酵素によって「ジヒドロテストステロン(DHT)」という強力なホルモンに変化し、それが毛根に悪影響を及ぼすことです。DHTは、毛髪の成長サイクルを短縮させ、結果的に細く短い髪しか育たない状態にしてしまいます。
フィナステリドは、この「5αリダクターゼ」の働きを抑えることで、DHTの生成を減少させ、毛根への悪影響を防ぐ薬です。これにより、脱毛の進行を食い止め、現状の髪を維持しやすくなる効果が期待されます。
使用を開始してから3〜6ヶ月ほどで効果を実感する方が多く、長期的に服用することで髪の密度が回復するケースもあります。ただし、すぐに発毛するわけではなく、「進行を止める」という役割がメインである点を理解することが大切です。
また、副作用として性欲減退や肝機能の変化が報告されることもあるため、必ず医師の指導のもとで使用するようにしましょう。
AGA治療を考える際、まずは原因を抑えることが第一歩です。フィナステリドはその中心となる薬であり、多くの患者にとって希望となる存在です。
デュタステリドの効果と副作用
デュタステリドの効果はAGAの原因物質を抑制できる

デュタステリドは、AGA(男性型脱毛症)の進行を抑えるために用いられる内服薬で、主に「ザガーロ」という商品名で知られています。この薬の主な働きは、脱毛の原因とされる男性ホルモン「DHT(ジヒドロテストステロン)」の生成を抑えることです。DHTは、テストステロンが「5αリダクターゼ」という酵素によって変換されることで生じますが、デュタステリドはこの酵素のⅠ型・Ⅱ型の両方を抑制するため、より強力な効果が期待されています。
実際に、デュタステリドは前頭部や頭頂部など、広範囲にわたるAGAの進行を遅らせる効果が認められており、多くの臨床試験でも髪のボリュームや密度の改善が確認されています。特に、他の治療薬で効果が薄かった方にも希望が持てる選択肢のひとつです。
一方で、副作用についても理解しておくことが大切です。代表的な副作用には、性欲減退、勃起不全、射精障害などの性機能への影響があり、服用を開始して数週間から数か月の間に現れることがあります。また、まれに乳房のはれや痛み、肝機能異常、アレルギー症状なども報告されています。
効果と副作用のバランスを理解し、専門医と相談しながら適切に治療を進めることが、デュタステリドの活用において重要です。定期的な診察や検査を受けながら、安全に使用しましょう。
AGAに対する市販薬のメリット、デメリット
AGAの治療薬として病院に通わなくても手軽に始められる「市販薬」に注目が集まっています。ドラッグストアや通販で購入できるこれらの製品は、忙しい現代人にとって便利な選択肢ですが、使用には注意点もあります。
まず、市販薬のメリットとして挙げられるのは、手軽さと経済性です。処方薬に比べて価格が比較的安く、医師の診察を受けずに購入できるため、治療の第一歩として気軽に始めやすいという利点があります。
中でも、ミノキシジルを主成分とする外用薬は、日本国内で厚生労働省に認可されており、一定の効果が期待できます。血行を促進し、毛根に栄養を届けることで発毛をサポートします。
一方で、デメリットも無視できません。まず、市販薬の多くは効果が限定的で、すべての人に効くわけではありません。AGAの原因は人それぞれであり、ホルモンバランスや遺伝的要因が関係している場合、市販薬だけでは十分な効果が得られないことがあります。
また、副作用のリスクも考慮する必要があります。特にミノキシジルには、頭皮のかゆみ、赤み、まれに血圧低下などの副作用が報告されています。医師の管理がない分、自身で副作用の変化に気づき、対処する必要があります。
さらに、内服薬は原則として市販されていないため、AGAの根本原因であるDHT(ジヒドロテストステロン)を抑制する治療は、市販薬では難しいという点も覚えておくべきです。
AGA治療で通院する場合のメリットとデメリット

通院した方が確実な効果を得られる
AGA(男性型脱毛症)の改善を目指す場合、自己判断での対策に限界があるため、専門クリニックへの通院が確実な効果を得る近道と言えるでしょう。
市販の育毛剤やサプリメントも一定の効果が期待されるものの、AGAは医学的に診断されるべき症状です。医師の診断を受けることで、自分の脱毛タイプや進行度に合った最適な治療法を選択でき、無駄な出費や時間を減らすことができます。
通院することで処方されるフィナステリドやデュタステリドといった内服薬は、AGAの進行を抑える科学的根拠がある治療法です。また、ミノキシジル外用薬の併用など、複数のアプローチを組み合わせることで、より高い治療効果が期待できます。
さらに、通院では定期的な経過観察が可能です。治療の効果を写真やデータで可視化しながら進めることで、必要に応じて薬の種類や量を調整できます。これは自己判断ではなかなか難しい点です。
また、専門のクリニックでは生活習慣や頭皮環境に関するアドバイスも受けられ、総合的な薄毛対策が可能です。ストレス管理や食生活の改善といった日常生活へのサポートも受けられる点は、継続的な治療において大きな支えとなります。
AGAは早期発見・早期治療が肝心です。「まだ大丈夫」と思っているうちに進行してしまうことも少なくありません。少しでも気になる症状があれば、早めに専門医に相談することをおすすめします。
通院した場合のデメリットは費用
AGA治療の費用が高額になる理由の一つは、AGA治療が健康保険の適用外であることがあげられます。日本では、美容目的と見なされるAGA治療は自由診療となり、全額自己負担となるため、経済的負担が大きくなる場合があります。
具体的な費用は、治療内容や通院頻度によって異なります。一般的には、フィナステリドやデュタステリドなどの内服薬の処方に月5,000円~10,000円程度、ミノキシジルを含む外用薬を追加するとさらに費用がかさみます。また、頭皮注射や植毛といった高度な治療を選択すると、初期費用として数十万円から百万円以上かかる場合もあります。
さらに、AGA治療は長期間にわたって継続する必要がある点も、コストが高くなる要因です。治療を中断すると再び脱毛が進行する可能性が高いため、多くの患者が数年単位で治療を続ける必要があります。このように、長期間の出費が家計に影響を及ぼすことも少なくありません。
ただし、最近ではオンライン診療やジェネリック医薬品の普及により、治療費を抑える選択肢も増えてきています。患者としては、治療を始める前に費用や治療期間についてしっかり医師と相談し、ライフスタイルに合ったプランを選ぶことが重要です。
AGA治療にかかる費用
AGA治療は健康保険の適用外となる自由診療がほとんどであり、費用はクリニックや治療内容によって大きく異なります。
まず、内服薬による治療(主にフィナステリドやデュタステリド)は月々おおよそ3,000円〜10,000円が一般的です。ジェネリック医薬品を利用することで、コストを抑えることも可能です。外用薬(ミノキシジルなど)を併用する場合は、さらに2,000円〜5,000円程度の費用が加算されます。
また、メソセラピーや育毛注射、HARG療法などの専門的な施術は、1回あたり2万〜10万円程度が相場となり、複数回受けることが推奨されるため、総額で数十万円に達するケースもあります。
加えて、初診料(3,000円〜5,000円)、再診料、検査費用などがかかることもあるため、事前に費用の詳細を確認することが重要です。
最近では、オンライン診療によるAGA治療も普及しており、通院の手間を省きつつ比較的安価に治療を始めることができます。費用を抑えつつ治療を継続したい方にとっては、有力な選択肢です。
費用だけでなく、治療の内容や自分の症状に合ったプランを選ぶことが、長期的な効果につながります。無理のない範囲で、信頼できるクリニックを選ぶようにしましょう。
AGAは進行するため、治療できるが完治は難しい
AGA(男性型脱毛症)は、思春期以降の男性に多く見られる進行性の脱毛症です。主な原因は、男性ホルモンであるテストステロンがDHT(ジヒドロテストステロン)に変化することで、毛根に悪影響を与え、髪の成長サイクルを短縮させる点にあります。
このため、AGAは自然に止まることはなく、年齢とともに進行します。ただし、進行を遅らせたり、一定程度の発毛効果を得ることは可能です。現在では、フィナステリドやデュタステリドといった内服薬、ミノキシジルの外用薬など、科学的に効果が認められた治療法が存在します。
しかし、これらの治療はあくまでも「進行を抑える」「薄毛の改善を図る」ことを目的としたものであり、根本的にAGAを“完治”させるものではありません。薬の服用をやめれば、再び脱毛が進行する可能性が高いため、治療は基本的に長期継続が前提となります。
また、効果には個人差があり、すべての人が満足のいく発毛結果を得られるとは限りません。生活習慣や遺伝的要因も影響するため、総合的なケアが重要です。
自分でできるAGAの予防・対策
AGAも他の疾患と同様、早期発見早期治療が肝ではありますが、すぐに治療を開始できるわけではありません。
進行したAGAを民間療法、ホームケアで改善することは難しいですが、日常生活を見直すことでAGAの進行を多少なりとも遅らせることは可能です。
まずは食生活を見直してAGAを予防しよう

加齢や遺伝だけでなく、現代人の生活習慣もAGA(男性型脱毛症)の要因とされています。その中でも特に注目すべきは、日々の「食生活」です。バランスの取れた食事は、頭皮環境を整え、健康な髪の成長を促すうえで非常に重要な役割を果たします。
まず、タンパク質は髪の主成分であるケラチンを構成する重要な栄養素です。肉や魚、大豆製品を意識して摂取しましょう。また、ビタミンB群(特にB2・B6)は新陳代謝を促進し、毛根の働きを助けます。レバーや卵、緑黄色野菜などが効果的です。
さらに、亜鉛は髪の成長に関与するミネラルで、不足すると抜け毛が増えることがあります。牡蠣やナッツ類を適量取り入れるとよいでしょう。一方で、脂質や糖質の摂りすぎは皮脂の過剰分泌を引き起こし、毛穴の詰まりや炎症につながるため、控えめにすることが大切です。
食事だけで全てを防ぐことは難しいものの、日々の習慣を少しずつ見直すことで、頭皮と髪の健康を守る第一歩になります。食生活と向き合い、AGA予防に役立てていきましょう。
AGAは自力で治せるのか
AGAは、自然に元に戻ることはなく、進行性であるため、何もしなければ徐々に薄毛が広がっていきます。
もちろん、生活習慣の見直しやバランスの取れた食事、ストレスの軽減などは、髪や頭皮の健康を保つために有効です。また、育毛剤やサプリメントで一時的に髪の状態が改善されることもあります。しかし、これらはあくまで補助的な対策であり、AGAの根本的な進行を止めることはできません。
確実な改善を望むのであれば、医療機関での適切な治療が必要です。現在では、フィナステリドやデュタステリドといった内服薬、ミノキシジルの外用薬など、科学的に効果が認められている治療法があります。これらの治療は専門医の診断と処方が必要です。
「まだ初期段階だから」「市販薬で様子を見たい」という気持ちも理解できますが、放置することで手遅れになる可能性もあります。自力での改善に限界を感じたら、早めに専門機関を受診しましょう。
AGAの治療は何歳から始めればいいのか
AGAは進行性の脱毛症であるため、できるだけ早期に治療を開始することが推奨されます。
AGAの症状は早い人で20代前半から現れることがあり、額の生え際や頭頂部の髪が徐々に細くなり始めます。初期段階では抜け毛の量が目立ちにくいため、「まだ大丈夫」と放置しがちですが、症状が進行すると治療しても十分に回復できない場合もあります。
AGA治療薬のフィナステリドやデュタステリドは、進行を抑える効果がある一方、既に失われた髪を取り戻すのは難しいのが現実です。そのため、AGAの兆候を感じた段階、もしくは家族に薄毛の人が多い場合は、20代からの受診・相談がおすすめです。